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2017/07/31

抜いた歯で再生医療

先日、日本歯科大学にて行われた「歯の細胞バンク」認定医講習会に参加してまいりました。ちなみに元々は「歯髄細バンク」と呼ばれていましたが、歯科関係でなければ歯髄という言葉にピンとこないのではないかと、最近改名されたようです。

私の出身大学は東京歯科なのですが、私の所属いたします解剖学講座の先輩が日本歯科大学の出身であり、さらには「歯の細胞バンク」のリーダーを務めておられる中原貴先生の弟さんなので、ご紹介いただき参加した次第です。

 

再生医療といえばiPS細胞の方が聞き馴染みのあるものとは思いますが、移植時に癌化してしまうなどの問題をクリア出来ていないようです。また、従来より行われている骨髄から細胞を抜き出し培養する方法もありますが、全身麻酔を必要とするかなり大掛かりで痛みを伴います。

今回受講して参りましたこの「歯の細胞バンク」は歯の中にある神経細胞を培養・増殖させルものです。癌化もせず、骨や神経、肝細胞など様々な組織に変化することができるだけでなく、抜いた歯でOKというのが優れている点です。もちろんいいところばかりではありません。抜いた歯と言っても、虫歯だったり治療済みの歯では肝心の歯の神経細胞がちゃんと培養出来ないようです。理想としては抜け落ちる前の乳歯とのことです。乳歯は抜ける前に歯の根っこが溶けてなくなっていきますが、溶けてなくなってしまうと中の神経細胞が使えないそうです。

となると、歯医者さんで乳歯を早めに抜くか、矯正治療のための抜歯、埋まっている親知らずの抜歯くらいしか適応はないかもしれません。もちろん虫歯になっていなければ大丈夫ですが、無菌的に培養をしなければならないということもあり条件は少し難しそうです。

 

気になる年間の費用は「1年目が5万円」、「2年目から2万円」(税別)だそうです。先端医療なのに割と安いんだなと思いました。医療保険で治療費をもらえても、自分の細胞由来の組織で治療できるわけではありません。今後間違いなく発展していく分野なのでお得な感じがしました。

 

医学の進歩と未来を感じさせてくれる講習会でした。

ご興味のある方は是非お声をかけてください。特に歯が生え変わりそうなお子様のご家族の方、矯正治療のため抜歯をしなければいけない方、未来のために「歯の細胞バンク」を始めてみませんか?

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中尾歯科医院
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